「なに、やってるんだろう……」

その日の夜、自分の部屋のベッドに寝転がってうずくまった。頭の中にあるのは、今日の放課後の斎藤くんとの出来事。

ため息ばかり出て、夕食もほとんど喉を通らなかった。

さっきからずっと、後悔の念に苛まれている。どうして勢いで好きなんて言っちゃったんだろう。真っ赤な顔を見られたのもすごく恥ずかしい。

書きかけの日誌はどうなったかな……。言い逃げしちゃうなんて最低だ。

できることならさっきの時間に戻ってもう一度やり直したい。そしたら告白なんてしないのに。

明日からどうしよう。どんな顔で会えばいいんだろう。

斎藤くんはこんなあたしのことをどう思ったかな。きっと引かれたよね。

「ああ、もう……」

頭を抱えてベッドの上をゴロゴロと行ったり来たり。

自慢じゃないけど、父親が大手有名企業の会長をしていることもあり、住まいは駅から徒歩二分の超高級マンションの最上階。

家の中や部屋の家具は海外の有名ブランドから取り寄せた特注品だ。

このベッドもしかりで、天蓋付きのいかにもなお姫様ベッド。

でもあたしの趣味ではない。

広くて寝心地がいいのは気に入ってるけど、少女趣味全開のこの部屋の居心地はウソでもいいとは言えない。