「アウトドアしてるって雰囲気を楽しみたかったの」

「あうと……どあ？」


異世界の人にはアウトドアという言葉に馴染みがないらしく、オリヴィエの目が点になっていたので私は慌てて言い換える。


「野外で食事なんて滅多に経験できないし、せっかくだから原始的な料理作りを味わおうと思って」

「原始的？　野外での食事なんて、遠い町に足を運ぶときは、さほど珍しくはないでしょう」

「あ、ははは……」


私の世界ではキャンプやバーベキュー以外で、野外で食事する人なんて滅多にいないんだけどな。

笑って誤魔化そうとしたら、オリヴィエは怪訝な面持ちで私の顔をじっと凝視する。


「あなた、ときどきよくわからない言葉を話しますし、見たことない料理も作りますよね。出会った当初はお金も持ち合わせていなかったようですし、あなたはどこの生まれなんです？」

「それは……」


エドガー以外の人には自分の素性を話していなかったので、いつかは聞かれると思っていたけれど、いざその時が来るとどう説明したらいいか悩む。

言い淀んでいる私にオリヴィエは、はあっとため息をついて軽く睨んでくる。