第1章


美しい少女に 目を奪われ 立ちつくす




窪田 トシヤ
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人生初の“一目惚れ”をしたのも、

僕には出来ないと思っていた“親友”と出会ったのも、高校の入学式だった。


今までの当たり障り無い人生をここから取り返す勢いですか?

と神様へ問いかけてしまうほど、
あの1日は濃厚な日だったと言える。



同じ中学から進学した友達がほとんどいなかった事もあって、

緊張していないと言えば嘘になる精神状態の中、

でかでかと掲示されたクラス発表を見て1年1組へ向かい、足を踏み入れた教室。



「・・・・・エッ・・・・・・・。」



まず目に飛び込んだその子を見て、“空気が漏れた”とほぼ同意義の驚きの声を挙げ、

僕は一度そこからエスケープした。


二度見をする余裕も無く、すぐに廊下沿いにあったトイレへピットインした。





“ちょっと用を足して自分を落ち着かせよう”





チャックを下ろして、
出る気配も無いけど一応構えて。


あの・・・頬杖を突き、つまらなさそうな表情を浮かべながら窓越しに外を見ていた・・

あの“眼帯”の女子生徒を思い返していた。