帰りの車はお互い口を開くことがなく。

運転手は行きと同じ宮木さんがいて、ちゃんと家に向かっているのだということがわかった。


けれど聞きたいことがたくさんある。

秋崎さんは本当に神田組の一員で、裏切り者だったのか。


私はこれからどうなるのか。


馬鹿みたいだ。
自分の弱さが痛いほどわかる。



確かに雪夜を殺そうとしていたのに、今は一緒にいて甘えているなんて許されないことだろう。

それなのに心は彼に傾き、身を預けている。



「……余計なことは考えんな」


静かな車内で雪夜の低い声が響き渡った。
車に乗り込んでから初めて彼が沈黙を破ったのだ。

妙に緊張感が走っているため、うまく言葉が出てこない。


とりあえずコクコク頷くけれど、なんだか嫌な予感がするのは気のせいだろうか。

いや、気のせいだと思いたい。



「大丈夫。お前は巻き込まれた側なんだから、危険な目に遭わせねぇよ」


言葉を発しなかったからだろう、雪夜が私の頭をぽんぽんしてきて。

まるで安心させるような優しい手つきに、肩の力が抜けたのがわかった。