その日のサークルは憂鬱だった。
7月の学内ライブに向けて集中しなければいけないのに、お昼の事が頭から離れなくて身が入らない。

「………か………十花ッ!!!」
「うわあ!!?」
「どうしたの?今日なんかおかしいよ??」

私の名前を呼んだのは 海原心麦(かいばら こむぎ)。
サークル内で1番仲の良い先輩だ。

「えへへ…す、すみません」
「拾い食いでもした?」
「そんな!拾い食いなんて!(笑)」
「それじゃあ何か悩み事でも?」
「いえ、大丈夫です!」

「そっか〜」と言うと心麦先輩はピアノを弾き始めた。大丈夫、落ち着け。冷静になるんだ、自分。


思いっきり息を吸って、
そして深く吐こうとしたその時だ。


ガラガラガラ〜!!!!!!
勢いよく、部室のドアが開く。


心麦先輩が笑う。
「佑馬!遅かったじゃん!」
「すんません!コンビニでアイス買ってました〜」
「ええええずるーい!」


………大丈夫。いつも通りだ。何も変わらない、普段のサークルの光景だ。あとは私がいつも通り笑えば…


「あ!そういや今日珍しく十花と学内で会ったんすよ〜!な?」
「え?あ!そ、そう!そうなのです!」
「何どうしたん?十花なんか今日おかしいで?変なものでも食べた?」
「やっぱ佑馬もそう思う〜?私もさっきそう言ったんだけど違うんだって〜」
「そ、そんな!心麦先輩まで!私が拾い食いなんてするわけないじゃないですか!」
「え〜じゃあやっぱり何か悩んでるんじゃないの?」
「違いますって!!!」
「そうなん?何か悩んどるならこの佑馬さんに聞いた方がいいで!!!なんたって悩み解決のプロフェッショナルとして有名やからな!」



あ〜〜〜もう!!!
皆してなんなの!!!