touch.1 君が私を呼んだ日

あぁ…今日も、また苦しい学校が始まる。

私は、なんのためにここにいるのだろう。

誰といても孤独を感じずには、いられなかった。

もしかしたら、こんな死んだような日々も
君に出会うための代償だったのかもしれない。

ねぇ。

君のその瞳の中に…私はいるの?

もしいるなら、私はどんな姿をしてる?


〜半年前〜

「アハハハハハッ!」

廊下に響く高笑い。

「まだ、学校来てんの?図々しいんだよっ!」

ドンッと鈍い音がなると、私の体は宙に投げ出された。

ガゴンッと悲痛な音をたてて、私の意識は左膝に集中する。

「痛っ?!」

にじみ出る鮮やかな血が一面に広がり、鏡のように私を映す。

絶望に満ちた顔が、残酷なほど目に焼き付いた。

「やっ、やばくない?」

「お前が悪いんだからなっ!」

焦りを感じ走り出した、二人の足音が私の耳を支配する。

このまま死んでしまえたら…どんなに楽なんだろ。

誰かが言ってた"自殺は弱い人間がする"って。

でも、それは違うって私は知ってる。

自殺を認めるわけじゃないけど、群がって人をいじめる人間
とは違う。

たった一人で、死ぬという恐怖を乗り越えた強い人間だから。

そんなことを止まりかけの脳で考えていた時、誰もが
間違えた私の名前をはっきりと呼ぶ…

君に出会った。