ケータイ小説 野いちご

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神様、私決めたんです。

神様、私、最近思うんです。


高校時代は人間関係でたくさんの失敗をして、


とにかく、辛くて辛くて、


死ぬことを考えるほどでした。


高校は人生で一番楽しい時期と


周りの大人たちはよく言っていたものです。


確かにクラスの同級生たちは


毎日友達と楽しい日々を過ごし、


本当に楽しい高校生活を謳歌しているようでした。


しかし、それとは対照的に、


私の高校生活は充実とは程遠いものでした。


だから、大人たちのそのよく分からない一般論に


ひどく頭を悩ましていたことがありました。


一番楽しいと呼ばれるこの時期が、


こんな様じゃ、私の人生は


もうここまでということか。


周りの同級生と自分があまりにも


対照的過ぎて、


何もかもが嫌になっていました。


おそらく、今まで生きてきた中でも


最も辛い時期だったと思います。


そして、今は社会人になり、


忙しくなりましたが、


とても充実した日々を送っています。


あの頃とは見違えるくらいにです。


あの苦しみは何だったのか、と


拍子抜けしています。


こうして、辛い時期を乗り越え、


楽しい毎日を送っていると、


ふと、不安がよぎるんです。


苦しい時期が終わって、楽しい時期がきて、


……………そしたら次は?


今は楽しくても、また苦しい時期が来るの?


考えすぎな気もしなくはないですが、


人生楽ありゃ苦あり、という言葉がありますよね。


あれは本当によく言ったものです。


順番から言えば自分の場合は


苦ありゃ楽あり、なのですが、


その言葉を今、身に染みて感じています。


私はまだ20年も生きていません。


そんなやつが人生を語るなぞまだ早い!


と思ってはいるのですが、


なんだか、波があるように感じるんです。


あくまでも自分が心でそう見ているだけで、


実際は一つ一つの出来事が


"ただ"起きているだけなのでしょうけど…………。


私の目にはなんだかそう写るんです。


波が押し寄せては引いて


押し寄せては引くのを繰り返すように。


ジンセイってやつは不思議だなと思います。


これからもっとたくさんのことに


遭遇するのかもしれませんが、


やはり、"苦しみ"ってやつからは


逃れられないだろうと思います。


少し前までは、


楽しい日々を過ごすその反面で、


もう高校時代の時のような


苦しみはもう本当にいらない、


あんな散々な目に会うのはたくさんだ!


と嘆いていました。


過去の体験から、痛みや苦しみを感じるのが


一層怖くなっていたのです。


しかし、つい最近、


その考えが変化するきっかけがありました。


それが、"恋"です。


相手は職場の同期の人なのですが、


それまでは彼の研修の時の嫌な振る舞いから


私は恨みを抱え、彼のことを


毛嫌いしていました。


それは彼と同じ部署に配属されてから


約半年間続きました。


とにかく、私は彼を避けていました。


今思えば露骨だったなあ、と感じます。


そしてある時、仕事の内容が変わり、


作業場所が彼の近くになってから、


自分の本当の気持ちに気付いたんです。


そういえば自分は、いつも、あんなやつ!とか、


嫌い!とか、暇があればずっと


彼のことばかり考え続けている。


でも、それはお好み焼きのように


ひっくり返してみれば、


彼に対する"好意"だったのです。


そのことに気付いてから、


私は彼が近くにくれば心踊らせ、


遠くに行けば少し落ち込んだりすることを


何度も繰り返していました。


彼を想うあまり、苦しくなることもありました。


そしてある時、思ったのです。


楽しい恋にだって、時には苦しみが付いてくる。


嫌でもやって来るものはやって来るし、


覚悟を決めた上で受け入れるのも一つの手では?


多分、これってジンセイってやつにも


通じるかもって思ったんです。


まだ何十年も生きていないし、


よく分からないけど、


そのほうが、自然と前向きな気持ちになれる。




だから、


神様、私決めたんです。




先のことを考えたって、


時間が早く過ぎるわけでもない。


嫌でも辛いことやしんどいことはやって来る。


そもそも私は"今"という時間しか


生きることができない。




それならせめて、


自分に素直に、正直でいようと思うんです。



これは当然のことですが、


自分を偽るのは苦しいことです。


自分に嘘を付くのは悲しいことです。


自分を無理に良く見せるのは疲れます。



でも、自分の考えや行動が、


おかしな方向に進まなければ、


自分で自分を痛め付けることはなくなる。



高校時代、自ら心を閉ざした経験が


あるからこそ、言えるんです。





神様。


これが、私の決意表明です。





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