そうして学校生活は平穏を取り戻していった。

ある日の体育の授業。

授業時間があまり、急遽、男女混合で
ドッチボールをすることになった。

「昔から苦手なんだよね。

ドッチボール。」

嫌そうな美咲とは反対に

「私は大好き!

だって一度も当てられたことないんだもん!」

「本当、鈍感なんだから…」

ウキウキするわたしに呆れたよう美咲が呟いた。

高校の男女混合になると

やはりボールのスピードが全然違う。

少し怖くなっていたが

最前線で田島くんがどんどんボールを受け止めていく。

当てられて外野に行っても
すぐに当てて戻ってくる。

『昔から強いんだよね。田島くん。』

田島くんを見ながら油断していると

「あい!危ない!」

美咲の声が響き

私をめがけてボールが飛んでくる。

『やばい!』

バンっ!

気がつくとボールは田島くんの手に収まっていて
次々に相手に当てていく。

試合終了間際、息を切らした田島くんめがけて

ボールが飛んできた。

「危ない!」

バン!

男子が投げた早いスピードのボールを

必死で受け止めた。

ピーっ!

「試合終了!!」

田島くんはびっくりしたように
私を見つめる。

「すごいでしょ!ボール取っちゃった!

中学生の時の恩返し!」

そう笑うと。

田島くんは少し悲しい顔をして

「…ありがとう。ボール片付けておくよ。」

そう言って私からボールを取ると

行ってしまった。