第3話



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“まごころの家”を出て、

園長先生や中原先生、
大人の手から離れた新生活。


最初から順風満帆と言えるものでは無かった。


なっちゃんと私、二人の新しい“家”となった“レジデンス古谷“の103号室。


部屋の間取り、家具の位置。


家の中とはいえ、
慣れるまでは白杖が手放せなかった。



「ごめんねなっちゃん。」


「だからいちいち謝る必要無いって!
ちょっとずつ覚えていこうよ。」


なっちゃんはいつも私の事を見ていてくれた。


トイレにも手を引いて案内してくれて、終わるまでずっと扉の前で待ってくれていて、


私が転ばないように、2人の共用スペースはいつも掃除と片付けをしてくれて、


テスト勉強しなきゃいけないのにいつも洗濯を手伝ってくれて、


テニスが好きでずっと続けていたのに、

高校では部活に入らずアルバイトをして、私に負担がかからないようにしてくれて・・・



慣れない新生活、
慣れない二人暮らし。


ゆっくりと、でも確実に。


それが“順風満帆”に近づいていったのは、
他の誰でも無い、“妹”のおかげだった。