『ふぁ…んん…んっ…あ…朝か…』
私は、前よりも広めの自室で目を覚ます。
ベットは前と同じもの。
兼也さんは買おうとか、言ってくれたけれど、デカイと逆に落ち着かないと伝え、断った。
少しばかり、目覚めの良い朝。
私は…『仕事は明後日から』と言う言葉を思い出したが、疲れは寝て、とれた様だったので、仕事をする事にした。
給料は勝手に好きな分と言われていたけれど、自分の生活費の分だけ取ることにした。
身だしなみをそれなりに整え、私は、兼也さんの居るであろう兼也さんの自室には向かわないで、起きてくるのを少しばかり、待つことにしようと思った。
『ガチャ…』
新しい自室のドアを開けて、私はリビングへと向かう。
昨日、勝手に飲んで良いと言われていたコーヒーも、好きだけど、気が引けるので、自分が持ってきたコーヒーを飲もうとして、キッチンへ向かう。
すると…
『か、兼也さん!?その仕事は私のですよ!?』
そう、兼也さんは、既に起きていて、朝ごはんを作っていたのだ。
『フレンチトースト…作ってみたんだけど、下手だったかな?
て言うか、仕事は明日からでしょ?
仕事仕事って言ってないで、朝ごはんにこのフレンチトーストでも食べながら、休んで下さい。
雇い主の、命令です』
と、優しく言われ、私は渋々『雇い主の命令』と言う言葉にうなずき、できたフレンチトーストと受け取る。
そして、リビングまで向かって、大きなテレビの目の前に配置されている、横長の暗い色の木製のテーブルの上に、フレンチトーストが重ねて置かれている、白いお皿を置く。
そして、テーブルの近くに配置されている、黒い革の四人がけのソファーに腰を下ろした。
そして、フレンチトーストを口に運ぶ。
『お…美味しい…』
みるみるうちに私は笑顔に成る。
昔から、美味しいものには目がないのだ。
『ホント、美味しそうに食べますよね』
その兼也さんの言葉に、少しだけ疑問を持った。
まるで、昔から知っているように聞こえた。