それからしばらく経ち、ある日の放課後。
「黒崎先生!勉強教えてほしいです」
とある他クラスの女子生徒に話しかけられた私。
その女子生徒には見覚えがあり、その理由がすぐに思い出せた。
この間、智也に抱きついていた子だ。
ちなみにこの子が智也と付き合ってると嘘をついているらしく、今もこの子からは誤解を解いていないようだ。
断る理由もなかったからいいよと答える。
その生徒の教室に行くと、もう誰もいなかった。
「若槻わかつきさん、わからないところってどこかな?」
質問すると、若槻さんは私に色々な分野を聞いてきた。
これはわざとかどうかはわからないけれど、全部が全部、受験に出てこないであろう難問で。
もちろん質問されたからには答えないといけない。
私はそれをなるべくわかりやすく教えると、若槻さんは理解したようだった。
「先生、わかりました!
ありがとうございます!」
満足そうに笑う若槻さんは本当に明るかった。
きっとわざとではないだろう、と思い込む私。