「本当に好きだと思ったこと一度もないの?小さいときから一緒なんでしょ?」


咲からこう聞かれたとき、わたしはつぶやくようにこう答えた。


「すき。いまでも大好き」


大ちゃんがこっちの会話を盗み聞きしてるのには気づいてたから。

普通の声の大きさでいったらきっと聞かれてしまうと思った。


本当は、大きな声で叫びたいくらいだったけれど。

でもこのときのわたしはもう残り10日間の命だった。


それなのに、こんなこといってしまったら。

大ちゃんを余計苦しめてしまうだけだと。