俺は、ヴァインがアンネの世話をしている事を知り、敢えて二人にしておこうと思い、自室へと向かった。
『キィィィー…』
古い木製のドアを俺が押すと、それらしい音をたてて開く。
『…』
俺は無言で後ろ手にドアを閉めつつ、自分のベッドを見た。
(此処に…あいつと一緒に寝てたんだよな…)
すると、急激に顔が熱くなっていくのが自分でも分かった。
同時に、顔が真っ赤に成っている事も。
(こんな所、誰にも見せられねぇ…)
そう思い、俺は、本棚に敷き詰められた、本に集中する事にしたのだった…

そんな事も知らない、彼の顔が真っ赤に成った原因の張本人の私は、彼の部屋のドアをノックしてから『入るぞ』と、開く。
『…て、うわっ!?い、いつの間に居たんだ…?』
珍しく彼は慌てた様子だった。
『いや、さっきドアをノックして声をかけたのだが…あぁ、その本に集中していたのか』
『そ、そうだ…』
彼の本心を知るのはまだ先…