私は今度は声をあげて彼の腕の中で泣いた。
ひたすら泣いた。
『おい、どうしたんだよ…』
彼は困ったような、愛しくて優しい顔で私を見つめながらそう言った。
『だって…遅いだもん』
『ゴメン…』
『でも、凄く嬉しい…』
『てことは、俺の事、好き?』
私は無言で何度も頷いた。
『ふふっ…そんなに頷く位好きなのかよ』
彼は優しい笑顔でそう言った。
『そうだよ』
私は更に頷きながらそう言った。
それは、すれ違い、離れかけていた二人が、何とか、想いが繋がった瞬間だった。