赤い、赤い部屋の中。壁は銃弾で穴が空いている。
何人もの銃を持った男が倒れている。ピクピクとしていて、まだ、辛うじて生きていることが分かる。
「つーかまえた」
歌うように語りかけ、少女は男を追い詰める。その組織のボスを。
緑のパーカーに赤いスカート。どう見てもこの場に似つかわしくもない格好で、鈴を転がしたような声で笑う。高く結んでいる、ツインテールを揺らして、カツカツとブーツをわざと鳴らす。勝ったことを見せつけるため。最早、手はつけられない、敗走だと言外に知らせるため。
「どーするの?」
もう、あたしたちには勝てないよ?
たち、と言うからには何人かいるだろうが、ここ付近には少女以外見当たらず、少女以外が侵入したという話もなかった。
「もう一度、どーするの?」
少女からは異様な、殺気のようなものが感じられる。
「降参だ」
銃を男は手放した。
「あら、そう。

つまらないの」
そう。と、つまらないのの間に銃弾が何発いや、何十発も少女を狙って撃たれる。倒れていた男たちの銃は浮き、そこから発射されたことが分かる。つまらない。と言う前には少女は蜂の巣になっている、はずだった。

キーン!!!
カタカタカタ……。

銃弾は1つ残らず、落ちていた。彼女を守るように張られた障壁のようなもので。透明で、美しい、それで。
部屋の温度は下がっていて、男は現実逃避なのか、寒いと思った。