高校に合格してから早五日。今日は凪沙の家に遊びに来ている。

理由は、凪沙のお姉さんのねねさんが「みつるくん助けて〜」と言ってきたから。

ねねさんは高校三年生だが、プロの漫画家で、主に歴史をテーマにした漫画を描いている。

「実はさ、奈良時代と平安時代の漫画を描こうと思ってるんだけど、どんな時代だったのか教えてくれない?」

凪沙の家に入った刹那、ねねさんは質問してきた。

「普段は教科書とか参考にしてたんだけど、なんか難しくて…。でも、よく考えたら身近に歴史博士がいるなって思って!」

ねねさんは目を輝かせながら、ピンク色の可愛らしいメモ帳をスタンバイする。いつでも解説をしていいのだ。

「奈良時代に平安かぁ〜。貴族の衣装がすごくきれいだよね!」

凪沙が、民族衣装などが載っている本を見せる。たしかに色鮮やかな美しい衣装が載っている。

「わぁ〜。ベリッシモ!ベリッシマ!」

恋雪がじっと本を見つめながら、イタリア語を放つ。……何言っているのかはわかんないけど!

「奈良時代は、710年に都が奈良の平城京に移されたんだ。そして貴族を中心に唐の仏教の影響が強い天平文化が栄えたよ」