その日は朝から雨。雨の日は、何となく気分が落ち込んでしまう。

今日は珍しく暇だ。凪沙はねねさんと買い物に行くと言っていたし、恋雪は今はミラノにいる。

お父さんとお母さんは二人とも仕事だし、じいちゃんとばあちゃんは友達と旅行に行っている。

スマホを取り出しゲームをするが、今日は楽しいと思えない。

時計を見ると、まだお昼の二時。お父さんたちが帰ってくるまでまだまだある。

課題はもう終わったし、何をしようか考えながら横になる。

その時、バタバタと俺の部屋に向かって誰かが走ってきた。

「お兄ちゃん!!ヘルプミー!」

ドアを開けて、俺の弟の海斗(かいと)が飛び込んできた。

俺には二人弟がいる。四月から中学二年になる健一と、小学六年になる海斗だ。

「今、健一兄ちゃんとテレビ見てたんだけど、全然わかんなくてさ。お兄ちゃん歴史オタクだし、解説してよ〜」

そう言われ、俺の心にわくわくが生まれる。大好きな歴史を解説していれば、退屈な時間などあっという間だ。

「よっしゃあ!俺に任せろ!何時代なんだ?」

「明治時代だよ」

海斗の後からやって来た健一が言う。

明治時代……。俺の一番好きな時代だ!