side 翔輝


人の成長というものは、こんなにも早いものなのか。

嬉しい反面、少し寂しい気がする俺って……自分で思っている以上に弟を溺愛しているのだろう。



「卒業生、入場」



そのアナウンスを合図に始まる、吹奏楽部の演奏は息の合ったとても綺麗な音だ。


参列した保護者達が、開かれた扉に一斉に目を向けた。


俺はビデオカメラを起動し、その晴れ姿を動画に収めようと姿勢を正す。



さて、可愛い弟の姿をしっかり撮…



「すげぇー!吹奏楽部カッケー!!」



………。