会場に入れば
慣れた様子で受付を済ませる私たち。
何度か参加しているからか、顔なじみも増えた。


シャンパンを手にして開始を待つ。
時々挨拶をして回っては、また志乃と合流。


まだかまだかと待っている時、
私はチーフに呼ばれた。


チーフの笹上さんはヒルズの総責任者。
私が1年前に付いていた先輩は笹上さんだった。





「まこ、ちょっとこっち来れる?」





志乃に断りを入れてから笹上さんの元に行く。


社員からの信頼も厚い笹上さんは
上司としても、人生の先輩としても、
とっても素敵な人。


一回りも歳が離れていると聞いた時は
驚きを隠せなかった。





「次のブランドのね、」





今度私が請け負うブランドで
笹上さんとタッグを組むのだろうと予想する。


タッグを組んだ2人は
少なくとも新作発表会をするまでの約半年間、
行動を共にする。


何度も本店に足を運び、
新作をチェックしては改善点を伝えたり。


最近では新しいデザインを提案したりと、
その期間はとても忙しいけれど充実するんだ。


慣れ親しんだ先輩とタッグを組める安心感と、
次のブランドに対する期待に
大きく胸を膨らませた。

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