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「待って!!絵梨奈さんっ!」

海岸の砂浜の上を走る絵梨奈さんは、ついには靴を脱ぎ捨てて更に加速した。

危なっかしすぎる。だが、突然立ち止まって、
広い海の方へ大声で叫んだのだ。

それは悲痛を感じるもので、
泣き叫んでるようにも聞こえた。

しばらくすると、満足したのか息を切らしながら髪を掻きあげて俺を見た。

「…同じ、なんでしょ?刑事さん。あたしと。」

"魔性"の特性のことだ。

「そうだよ。…君は、それが何か知れてる?」

俺は脱ぎ捨てられた靴を拾い、彼女の傍に行く。

「分からないの…ねぇ、これは何?」

「やっぱり知らなかったんだね。
さっきの君の戸惑いを見て気づいたよ。」

俺は砂をはたき靴を渡すと、
絵梨奈さんは、ペコっとラフな会釈をして受け取った。