白いTシャツが夏風のせいで、
肌に張り付いてくる。

それが心地よくてパタパタと仰ぐと同時に
潮の匂いが漂う。

「いい一日だ…」

眩しいオレンジ色の夕陽。
海には凪が訪れていてとてもセンチメンタルだ。

""見て、遥斗。""

"あの地平線の向こう側に、パパはいるのよ。"

遠い昔、1度だけ母親が海に連れてきてくれた日を思い出す位に、綺麗な景色だ…。

感傷的な気分になりかけた時、
凪は女性の悲鳴でかき乱れた。

「誰か来てー!!助けてー!!」

俺は条件反射で、声の位置を探しながら走った。