『ひーくん!』
そう俺を呼ぶ、高いけど決して耳障りではない声が聞こえる。
振り返らなくても分かる。いったい
何年の付き合いになるんだろう。見なくても分かるくらい聞き慣れた優しい声。
そう思いつつ、振り向くとやっぱりそこには見慣れた笑顔が向けられていた。
大好きで、でもどうしようもない喪失感にかられてしまうその声の持ち主は俺の好きな人。
整った顔に色素の薄い大きな目。緩くウェーブがかかった長い髪。そして、抱きしめたら折れてしまうんじゃないかって思うくらいに小さくて華奢な女の子らしい彼女。
そんなあいつを俺はずっと…………。