ケータイ小説 野いちご

犬猫ポリスの恋日常

No.02 バレンタインデーのお話


警察に盆もバレンタインデーも無い。

チョコレートがなんぼのもんじゃい!と思っている人間ばかりだと勝手に思っていた。

そもそも、一昔前までの警察は男社会。

そんな風習すらなかった時代もきっとあったに違いない。

「はい、係長。交通部女子一同からです」

千歩は小さなラッピング袋に包まれたチョコレートを上司のデスクに持って行った。

今どきの警察には盆は無いがバレンタインデーは存在するらしい。

身近な同僚や上司たちにそれぞれの部署の女性警察官が義理チョコを準備して配り歩く事は、毎年の恒例行事になりつつあった。

「ありがとう、犬山君」

チョコレートを受け取った係長はとても嬉しそうだ。

中には奥さんや娘さんにさえチョコレートを貰えず、ここで貰えるチョコレートを唯一の楽しみだと語る猛者もいる。

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