ケータイ小説 野いちご

犬猫ポリスの恋日常

No.00 昔々のお話



犬山 千歩(いぬやま ちほ)と猫島 秋人(ねこしま あきひと)は幼い頃から共に時間を過ごすことが多かった。

千歩にとって秋人は七つ年上のお兄さんだったが、父親同士が親友だったこともありよく一緒に遊んでくれた。

千歩の父親は“現場百遍(げんばひゃっぺん)”がモットーのノンキャリ刑事。

片や、秋人の父親は有能な警視総監様。

周囲から身分不相応だと言われようとも、その友情は壊れずに続いている。


「秋人君、NY市警配属おめでとう!」


「事件解決。それから、海外で色んな事を学んで来い」


千歩の父親と秋人の父親は近々NYへ旅立つ若者にそれぞれはなむけの言葉を贈る。

今夜は猫島宅でささやかなお祝いパーティーの最中。


「ありがとう、父さん。犬山のおじさん」


秋人は両者に向けて一言礼を言うと、ビールの入ったグラスを手にした。


「それじゃ、改めて……乾杯!」


両家の両親、それに千歩と秋人のグラスがそれぞれ重なり合って、ガラスが擦れる高音を響かせた。


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