目を開けたら、灰色の天井が見えた。



「………………あれ…なんで……」


声がかすれてる。


ゆっくりと起き上がる。

少しひんやりとする地面。


辺りを見回す。


緑色のソファ。黒いテーブル。 冷蔵庫。キッチンに風呂場。
トイレもある。

知らない場所。

「……………ここ、どこだっけ?」


必死に考える。


「……えっと……確か学校から帰るときに………マナちゃんと別れてそれで………」


………………その後は?



「…………………あ!そうだ!男の人に声かけられたんだ!そして車に……………」


その時の映像が蘇った。


体か震えてくる。


「あ……………………あぁ……………………」


口を塞がれて、暴れても強い力で押さえつけられた。

男の人に………………


「…………あ…ぁ…」


震えが止まらない。


怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い


ここはどこ?


なにされるの?


お母さん………………


「……だ……………誰か…………」



『コツコツ』

足音が聞こえる。

『コツコツコツコツ』


近づいてくるのがわかる。


「 はぁっ…………隠れなきゃ………はぁ……」


クローゼットがある。

走ろうとした。けれど恐怖で体が上手く動かない。


『コツコツコツコツ』


「…………………ぁ…………」


もうダメ。


男の人がいた。


服は真っ黒。けれど1つだけギラギラ光るものがある。



包丁だ。


「いやぁぁぁぁぁぁ!!」


逃げようとした。


けれど手首を捕まれて逃げれなかった。


包丁が私の顔に近づいてくる。




「や、やめてぇ…………………………」



お母さん助けて



怖くて目をつぶった。



「……ねぇ、君。」



あれ?


なんか……………えっと……………?


どこか…………………?

恐る恐る目を開けると目の前に包丁がある。

それから男の人を見た。


「……………なに?」

男の人はマスクとグラサンをしていて顔はよく見えなかった。


「…………君、ここで生活しない?」


「………は?」







誘拐されて、監禁されてから5年が経った。


私は今16歳。


ずっとここに監禁されています。