小さい頃雨の日はいつも部屋の中でひとりきりで遊んでいた。両親はいつも忙しいからと、何かと理由をつけては遊んでくれなかった。

家にいても、いないのと一緒だ。

ある雨の日ーー窓の外にある木から誰かが覗いていた。ぬれちゃうと思って、どうぞと部屋の中に招き入れる。

こわいとかそんな感情はまったくなくて。


その招き入れた日から、雨音はいつも傍にいてくれた。雨の日は。


不思議だったけど、いつも心はぽかぽかだった。


雨音は絵本を読み聞かせてくれたり。ときどき色んな神様の話もしてくれた。不思議で優しい、ちょっと笑える神様の日常を。


雨ばかり続いて、だんだんと部屋の中だけで過ごすのは退屈になる。もともと雨の日は好きじゃない。雨音はそんな気持ちにもすぐ気がついてくれた。





“雨がきらいなのか?”