ある平凡な一家族の夕食。



「いっただっきまーす!」


出張が多いお父さんと仕事で忙しいお母さん。

いつもならお兄と3人で食べる夕飯だったけど、
今日はお母さんの仕事が早く終わって久しぶりの4人。


そんな家族だんらんな風景、のはずだけど
お母さんは私の事はあまり可愛くないらしい。


「仁菜、そういえば中間テストの点数どうだったの?」


ドキンと心臓が鳴る。
この家族至上で1番頭の悪い私は、案の定平均点以下。


「え?あー...平均かな!あとでまた見せるね!」

「仁菜ー、どうせまた赤点とったんじゃねーのかー?」

「勇兄!そんなこと言わないでよ!!」


クスクスと笑ったのは勇拓こと勇兄だった。


隣にいる晴周こと晴兄は相変わらずの無表情




「ちゃんと持ってきて見せなさいよ。
あんただけはホント、どうしてこんなにバカなのかしら」

「母さん、言い過ぎだよ..」

「勇拓は本当に仁菜に優しいわね」


家族4人の食卓よりも兄妹3人の食卓の方が
よっぽど気が休まるのは見ての通りだ。


お母さんの痛々しい視線が突き刺さる中、
その視線に気付かないフリをしながら
進まない夕食に手をつけた。