金曜日を迎えた。

私はいつかと同じ待ちあわせ場所であるスターバックスを訪ねた。

「まだきていない」

二ノ宮さんはまだきていなかった。

いつかの時と同じだなと、私は思った。

ただ違うことと言えば、私の今日の格好はゆかりが選んだ服じゃないと言うことだ。

ストライプ模様のシャツにスキニージーンズ、そのうえからグレーのカーディガンを羽織った。

髪はハーフアップにしてバレッタで留めた。

私なりの精いっぱいのおしゃれだ。

この日も先に注文をしようとしたら、
「お待たせ」

同じタイミングで二ノ宮さんに声をかけられた。

彼の格好もスーツで、走ってきたのか呼吸が荒かった。

二ノ宮さんは私の顔をじっと見つめると、
「小山内さん、だね?」
と、聞いてきた。