「いってらっしゃい。」



お母さんが玄関で見送ってくれる。



12月。



玄関を出ると
肌にささるような冷たい風が吹きつける。



私は左手をコートのポケットに突っ込んだ。




「いってきます。」




そう言って私は
重いキャリーバックを持ち上げて
家の前の段差を降りた。


今日は札幌のおばあちゃんのところに行く日だ。


ロサンゼルスから札幌までは
約15時間かかる。


お母さんは用事ができて行けなくなり
今回はやめておこうと言った。



しかし私は行くと言った。



私が来るのを楽しみにしてくれている
おばあちゃんに申し訳なかったからだ。



私は家の近くの大通りでタクシーを止め
ロサンゼルス国際空港へ向かった。