「それで、連絡は取り合ってるの?」

「ごくたまに、ですかね……」

「おはようとか、おやすみとかは?基本でしょ?」

「合宿中ですよ?絶対に迷惑ですよね?」

「そんなの気にしてる場合じゃないでしょ!」

「俺は好きっすけどね、女の子からおはようやおやすみが来るとテンション上がります」


私と沙夜さんの会話にするりと入ってきた翔くんが、男子の意見はこうですよと若干ドヤ顔でニヤリと笑う。
淡口さんがタバコという名の一服をしに外へ出たタイミングで話し出した私たち。

私語をどうしても慎めない、社会人としてあるまじき仲の良さ。いや、いいのか、チームワークが抜群ということで。


隣の翔くんに、私は「でもさ」と続ける。

「それは好きな人からだったら嬉しいってことでしょ?好きでもない子だったら?」

「うーん、それはちょっと困りますね」

「ほら、沙夜さん!聞きました?」

ちゃんと聞いていたらしい沙夜さんは、それでも自信をみなぎらせて認めようとしない。

「二人で森伊蔵を飲みに行って、パフェ食べて、家まで送ってもらったんでしょ?それは好意がある証拠よ!」

「優しい人なんですよ……」

「次の約束は?取りつけたの?」

「いつとは決めてませんけど、今度は村尾か魔王に挑戦してみようかって」

「柑奈ちゃんたちの頭の中、焼酎しかないの!?」

それは違うけれど。少なくとも私は。
彼と会えるのなら、なんだっていいから理由をつけたかっただけだ。
「次は村尾か魔王でも飲みに行きます?」と言い出したのは藤澤さんの方で、次も会ってくれるんだと嬉しくなったのだけはたしかである。