───結局あれから、要とは仲直りした。……表面上、だけど。

仲直りまで嘘だったら、さすがに要も落ち込むのかな。許すつもりないけど。



要に甘えられるのが嫌いだ。何してもいいって思われてるのが嫌いだ。要のことなら全部わかるって思われるのが嫌いだ。

要に“最高の親友”だと思われるのが大嫌いだ。



「……友だちのところ行ってくる」



私がそう口にしたとたん、要は不思議そうに瞬きをした。



「え、なに急に改まって。綾乃とか大輝のことならいつも通りに言えばいーじゃん」

「綾乃とか大輝じゃないから言ってるの。私にそれだけしか友だちいないみたいに言うな」



友だち、の定義はよくわからない。要や綾乃は気付いたらなってた、って表現が正しいし、大輝は幼なじみ。

おしゃべりができるクラスメイトを、“友だち”と呼んでいいのか、未だにわからないままでいる。



「クラスの奴?」
「んーん、違う。要には内緒。もう行くよ?」

「弁当は?」
「要とは食べない……その人と食べる」