ケータイ小説 野いちご

社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

♡本物と代替品の恋

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「ほんと、最悪だよ。修理にあと一週間もかかるって言われてさ」

 スタンディングの丸テーブルにコーヒーを置いて、森さんはため息をつく。おしゃれなフレームのメガネが湯気で一瞬だけ曇り、すぐにクリアになった。

「僕が使ってる機種は人気商品で在庫がないとかで、代替機は似たスペックの違うやつなんだよなぁ」

 つぶやきながら、彼は手の中でスマホを弄ぶ。となりのフロアからは楽しげな笑い声が聞こえていた。

 月曜日の夕方、就業時間中なのに社内の空気が華やかなのは、彼女が久しぶりに顔を出したからだ。

「モリモリさん……聞いていいですか」

「森さんかモリモリかどっちかに――まあいいけど。どうしたの前原ちゃん」

「代わりって、どうですか?」


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