「いらっしゃーい、あら珍しい組み合わせ〜。エルちん、中央案内所のパネル写真変わってたわね〜。相変わらず大人気ね〜。イケメンのお客様紹介してよ〜。」


ままっていうのかマスターっていうのか…
とりあえずままって呼んでいるけど男だ。

「もう、ままったら〜。今日は大事な話したいから奥座らせてね。お酒はいつものカクテル2つでいいからね。」


カウンターの奥に2人で腰をかけた。

ままがカウンター越しに梨のカクテル2つを渡してくれたのを合図に話す。

「源氏名、奏<ソウ>だったね。私さ、高3の時深夜にドキュメンタリードラマで桜ちゃんが奏としてテレビでてるの見たとき、『あぁ、会いたかった桜ちゃんはもう遠いな』って思ったの。でもそれと同時に『桜ちゃんの近くに行くには、その世界に入れば会える。』って思った。でもね、夜の世界に入って一緒懸命働いているといつの間にか桜ちゃんのことは自然と忘れてたんだ、今日まで。まさか、桜ちゃんから会いに来てくれるなんてね。」


「俺は会いたかったよ。でも、連絡を絶たれた以上はどうにもできなかった。だから、『"愛咲L"って子が有名店を一瞬で登りつめた』って聞いたときもあまり興味もなかった。あまりにもみんなが言うから、興味本位で従業員が見てるホームページ画像を見せてもらった時一目で愛だってわかった。なんで?って思ったよ。」