いつもと変わらない朝。低く透る凪の声にわざと起こされる。
野菜スープとフレンチトーストの朝ご飯を食べ、スーツ姿の凪に会社まで送ってもらう。・・・変わらないけど気持ちは入れ直した。これまで以上に、してもらうのを慣れて当たり前にならないようにって。



「帰りは迎えはいいわ。人と会うから」

車の中で忘れないうちに伝えた。
凪は一瞬、目を細め。

「・・・それなら送ります。いつも通りでいいですね」

だいたい思ったとおりの返事をくれる。

「大丈夫。その人に迎えに来てもらうことになってるし」

「・・・・・・分かりました」

感情の見えないポーカーフェイスに、見透かされてる気はしたけど。気付かないふりで。

会社に着いて車を降りたあと、小さく手を振って背を向ける。
今日はそれきり振り返らないで。