匠と話をしてから、部屋に戻った俺はイライラしていた。

匠に対してなのか、次期社長としての女を選べと言われた事なのか分からなかった。

高瀬を女として、見ているのかもしれない。
だから、匠が彼女に対してちょっかいを、出した事に腹を立てたんだ。

見合いの事だってそうだ。
フランス支社に行く頃から、言われていたのをまだその次期じゃないと言って先延ばしにしていた。

日本に帰ってきたから、きっと早々に言われるだろうと思っていたが、日取りまで決まりかけてるとは…

コンコン

「はい」

「専務、よろしいですか?」

高瀬が様子を伺いながら、入ってきた。
どうした?

明日の服装の事、スーツでいいか?と。

聞き捨てならない。

「秘書として同行…」

俺は最初は秘書として連れて行くつもりだったが、今はそんな事考えてもいなかった。

ドレスまではいかなくても、失礼のないようにしてきます。と高瀬は言った。
彼女らしい。
普通なら、必要だからドレス買ってもいいですか?とか聞いてきそうなんだが。

またそんな彼女だからこそ、惹かれているのかもしれない…

明日か…

俺も考え時か。