女相手に売り言葉に買い言葉だった。

しかも、相手は取引先の社長令嬢。
令嬢?
そんないいものでもないか、高瀬の事を俺と釣り合わないなんて、言いやがって。

イライラしていた俺は、酒を飲むペースがが早くなっている事に気付いてなかった。
しかも、アルコールが強めになっている事も。

「ね、蓮さん。今すぐ、って言ってるんじゃないんです。少しずつでいいから、私を見てくれませんか?」

「な、なに?そんな風に言われても、あなたとの事を考える余裕は、今の私にはない。申し訳ない」

頭を下げた。
それしか出来ない、と思ったから。
それでも、納得してはくれなかった。

「恥をかかせないで。友達からでもいいでしょう?こうやってお酒をのんだり…ね?」

夏帆さんも酔っているのか、体を密着させてきていた。時々、体にも触れてきた。これが、逆だったらセクハラだとか言われるんだろうけど…

友達からでいいと言いながら、それ以上を望んでいるとしか思えなかった。

頭が痛くなってきていた、ボーっとする。これ以上はやばいと感じた。
さっき、匠がルームキーを置いて行ったが、ちょうどよかった泊まろう。こんな状態じゃ、高瀬の所にも行けない、そう思った。

そして意識を手放した。