「じゃあ、端から順にクジをまわしてくれ。引いた数字言ってってな~」


先生が黒板にチョークを構えながらうながした。


その黒板には、簡易的に座席表が描かれており、数字が35までバラバラに埋められている。


まるで屋台のくじ引きかのような、本格的な中身の見えない箱。


わたしたちは順番にその箱に手を突っ込み、おりたたまれた紙をひとつ取り出す。


「胡春ちゃん、次だよ~」


「うんっ」


箱がまわってきて、“いい席になりますように!”と願いを込めながらくじを引いた。


今日から本格的に寒さの厳しい12月、1年の締めくくりの月。


最後の授業は担任の教科で、それを早めに切り上げて、わたしたちは席替えを行っている。


といっても24日に終業式だし、期末テスト中には出席番号順に並ぶから、あんまり席替えをする意味はないんじゃないの?とわたしは若干思っている。


でも、今の席は一番窓側で窓を開けたときに最も影響を受ける場所のため、真ん中の席になれたらな、と思う。


真ん中の席って左右に人がいるから、なんだかあったかそうじゃない?