バレンタインから1ヶ月。

大好きな人に、クッキーをもらって……………失恋しました。

解りきっていた終わり。

涙は………

バレンタインでいっぱい流したから枯れてて良かった!





「洋ちゃ~ん!ただいまぁ。」

ダイブする彩を、絶対落とさず受け止めてくれるお兄ちゃん。

4姉妹の長女としては、20数年お姉ちゃんをやっていたから

とっても新鮮!

1年ちょっと前に出逢って……

今は誰より信頼してるの。

洋ちゃんだけは…………絶対受け止めてくれるって。

洋ちゃんに恋をしたら……………泣かずにいられたかな?

バレンタインのあの日………

鍵を無くしたって言ってたけど………

覚えてる。

酔っぱらった彩を…………大切に大切に慰めてくれた洋ちゃんの事。

恥ずかしくて……覚えてないことにしちゃうけどね!

「イッタァ~!
なんだ?そのでっかい箱はぁ。」

飛びついた勢いで、箱が頭に命中。

「ごめんね~!これは、失恋の記念品。
先生が、4人みんなにくれたの。
『唯ちゃんに今日告白します。』って報告と一緒に。」

先生っていうのは………

同じ幼稚園で働いてる上司の………森悠人先生。

実習生の去年、片思いした人。

友達の唯ちゃんと恋をして……今日告白をするんだって。

バレンタインに、同じく片思いしていた唯ちゃんが

先生にチョコを贈ったんだけど……

『義理』にするっていうから………思いを伝えろ!って後押ししたの。

その時までは………

『片思いでもいいから……二人が上手くいって欲しい』って

本気で思ってたのに……

先生が唯ちゃんだけを瞳に映すことが………悲しくなった。

彩の片思いを知っている海晴には

『素直にならないといけないのは自分でしょう?』って怒られるし………

心から二人の事を応援出来ない自分に落ち込むし…………

グチャグチャになって………洋ちゃんの所に逃げ帰ったの。

泣きじゃくる私を……

おぶってウチまで送ってくれた。

側にいてってワガママ言えば………苦笑いして叶えてくれた。

洋ちゃんは………お兄ちゃんじゃないのにね。



大人の男の人なのに…………。



『俺の前で、穏やかな顔が出来るなら……』って言って……

人指しゆびが、唇に触れた。

覚えてるけど……覚えてない。