… んさま… カリン様! 目を覚ましてください!」
「ん…」
久しぶりに光を見た気がする。てか、私、さっき車で轢かれて死んだよな?あ、天国か…いや、私の事だから地獄かな?
「…てか…貴方誰?」
私は目を覚ました原因を睨みつける。ドキッとした。驚くほど可愛かったのだ。まるで天使のように…などと考えながら、あ、天使なのかと1人で納得していた。
「はっ!申し遅れました!わたくし、神様です。」
私もこんくらい可愛かったらいい人生遅れたのかな?
「今なんて?」
空見だろうか今この天使が神様と言った気がした。
「神様です。」
どうやらおかしいのは私の耳ではなく彼女の頭だったらしい。
「神様なんているわけないじゃん。天使ならわかるけど。」
「何で天使を信じてて神様を信じてくれないんですか。」
自称神様の天使は頬を膨らませ、怒っているように見せていた。
「神様がいるならなんでこんなに不幸なのよ…」
「その事についてですが、」
びっくりした。聞き取れないほど小さい声で彼女に聞かせるつもりはなかったから。
「カリン様の不幸に関してはわたくしのせいなんです。」
この子は何を言ってるの?
「実は…」
「なるほどね…」
自称神様はどうやら本物の神様らしい。彼女の話によると、人は産まれる時に不幸のパウダーと幸福のパウダーを三対七の割合で神様から授けられるらしい。しかし、私の場合、神様が間違えて十対零にしてしまったらしい。
これを聞いた途端に怒りが湧いてきた。きっとそれが彼女にも通じたのだろう。こんなことを言い出した。
「ほんとに申し訳ございません。お詫びに、来世はとてつもなく幸福にします。前世の記憶はいりますか?」
あきれた。来世が良かったら全て丸く収まるとでも思ってんの?私は…あんなに辛かったのに…誰にも愛されないで…心配されないで…
「辛かったですね…」
どの口が…
「アンタのせいじゃない…」
「私のせいです。償わせて下さい。」
…なるほどね…私の為とかじゃなく、罪悪感を感じないようにするための自己満足…
「ハハ…バッカみたい…」
「ふざけないでよ!私…私が今までどんな思いをしていたのか!」
脳裏に蘇る記憶。毎日殴られて、ご飯は三日に一回、それも残飯処理。お風呂は月イチ。
誰も助けてくれない。みんなが敵。あ、そう言えば昔1度だけ私を助けてくれた子がいた。中二の時、心がボロボロで自殺しようとした時、お風呂に入れてくれて、ご飯をお腹いっぱい食べさせてくれて、私と遊んでくれた天使…そう、まるで天使のような…
「天使?もしかして…あの時の子って…」
顔が思い出せない…でも、あの時の子がコイツだったとしても…元々原因はコイツにあって、しかも自己満足かもしれない。
「今日はゆっくりお休みになってください。また明日お話しましょう。お部屋はこの天使達が案内してくれます。」
案内された部屋に行っても私はグルグルと考えていた。
また明日…
初めて言われた。あの子のおかげで私は救われた。アイツのせいで不幸になった。アイツがまた明日って言ってくれた…
「っ…」
「失礼します。」
「誰?」