父親は優しかった。
山や川にキャンプに連れて行ってくれた。
近所の飲み屋に行く時も、いつも私を連れて行ってくれた本当に優しくて面白い父だった。

でも、お酒が父を変えた。
少しずつ少しずつ。



ある日、近所のお兄ちゃんやお姉ちゃん達が
「花火するからモモちゃんもおいで!」
と誘ってくれた。

私は暗くなるのをお兄ちゃん達が住んでいるアパートの階段でワクワクしながら待っていた。

夕焼けが綺麗な日だった。

辺りが赤くなった時、父親がやってきた。
「お父さん!モモちゃん、花火するから暗くなるの待ってるの(^^)。」
そう言った次の瞬間目の前が真っ白になった。

どうやら頭を思いっきり殴られたらしい。

そのまま髪を掴んで引きずるようにして家に連れ戻された。

今思うと、心配のあまり…といった理由だとは思うが、それにしても周囲の目も気にせず幼い子供を大の大人が力いっぱい殴るのは正気じゃない。

それが父親から受けた暴力の始まりだった。