ケータイ小説 野いちご

冷たいキスなら許さない

恋愛不要の秘書
休日の秘書

「灯里、お前イースト設計に知り合いがいるんだってな」

社長の纏う空気が変わる。
私はごくりと息を飲んだ。

「うちの会社に建築依頼がきた。今まで全く関わり合いのなかったイースト設計からだ。
下北の話じゃ数週間前にイースト設計から灯里あての電話が掛かってきてたらしいな。
でも、灯里がイーストに営業かけてるって報告もない。報告があったのは、展示住宅のSNSトラブルでイースト設計の人間に助けてもらったって一件だけ」

社長の強い視線を受け止められずに思わず目を伏せる。

「今回の依頼を受けるかどうかは灯里の説明次第」

「わ、私のことは気にしなくても」

「そんなわけにいくか。これを受ければうちにとってプラスになる。あの東山氏の事務所なんだからな。
でも、その為に灯里が嫌な気持ちになるようなことがあるのなら、受ける必要はない。明日にでも断る」

はっきりとした物言いと決断力の早さは社長の良いところであり悪いところでもある。
このまま何も話さないでいたら社長はこの話を断ってしまうだろう。それはダメだ。

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