手を繋いでいないほうの手で口元を隠すつばさ先輩が照れているような気がして、きゅーんって胸が鳴った。

先輩の照れ顔初めて見た。ヤバイ、可愛すぎる。


「なんか、あほらし、俺、練習戻るわ。じゃーな」

大谷さんは見つめあっていた私達に呆れたように、小さくため息をついて、手をひらひらさせながら、体育館へ戻ろうとした。

「あんまり、桜の前で、いちゃつくなよ、また面倒くさいから」

「も、もういいから、余計なこと言わないで、さっさと行け」

つばさ先輩のうわずった声で焦っている様子がわかる。

「あ、そーだ、蒼井さんいいこと教えてあげるよ。つばさの中身は小学校3年生程度だから、そう思って付き合うと腹も立たないかもしれないよ」

「あ、はい」

冗談とも本気ともつかないその言葉にはなんて答えたらいいのかわからなかった。

だけど、この先私はその意味をじっくりと理解していくことになるのだった。