【如月李那side】
美那と風雅くんのことが一応解決。
私は叶夢をカーペットの上に転がして本を読んでいた。
危ないものは一通り片付けたし、大丈夫かな。
「まあー」
「どしたの?叶夢」
「まあ〜」
叶夢はニコニコしてこちらを見る。
横を向いて一生懸命こちらに来ようとする。
「まあ!」
「お、進んだ。」
仰向けの状態からうつ伏せになり、足で床を蹴る。
その一撃で少し進んだ。
ニコニコしながら進んでくる叶夢。
その様子を見ながら私は時計を見る。
…そのうち帰ってくるでしょ。
「お姉ちゃん、ただいま」
「おかえりー」
「叶夢〜、おばちゃん帰ってきたよ〜」
…おばちゃん…
中1がおばちゃん…
「みゃ!」
「みゃ?え、何?」
…叶夢もよく喋るようになったなあ〜…
さっきのは多分美那、って言ったんだろうな〜…
喃語?って言うんだっけこういうの。
とりあえず可愛い。
「叶夢ー」
「あぅ?」
「美那」
「ん?」
ーパシャ…
おお、キレイキレイ。
「ちょっとお姉ちゃん!」
「ん?」
「何撮ってるの?」
私の前に仁王立ちする美那。
「いいじゃん、記念記念。」
「まあいいけど。」
…いいんかい!
「ただいまー」
「おかえり、お母さん、早かったね?」
専業主婦だったお母さん。
そのお母さんがパートを始めた。
理由は、分かってる。
本人は“お母さんも働かないとね、働いてみたいなって!”とか言ってたけど。
理由、知ってる。
私の…病院代だ。
かなり負担をかけてることも分かってる。
それでも、生きたいから…
ごめんね、お母さん。
病院代に加えて、叶夢を育てるためのお金もくれる。
「叶夢〜、おばあちゃんですよ〜」
…デレデレか。
【如月李那side END】

【古川海澪side】
「あ、海澪ちゃん。」
「裕くん。」
教室を出たところで裕くんとばったり。
「あれ?今日蒼空居ないの?
1日見なかったけど。」
「うん、休みみたい。」
「道理で同じクラスでも見ない訳だ。」
裕くんは恐らく自販機にでもいってたんだろう。
財布片手にジュースを飲んでる。
財布と一緒に李那がいつも飲んでたみかんジュースが握られている。
「これ、間違えて買ってしまってさ。」
…癖、なんだろうな。
いつも李那に買ってたから。
「蒼空の所に行くんだけど、行く?」
「いいのか?行く。」
裕くんの目がキラキラしてる…
ちょっと楽しみなんだね。

「ー相変わらずでけぇなあ…」
「まあねー」
放課後、私は裕くんと一緒に蒼空の家に来た。
風邪なのかなんなのかは分からないけど…