ケータイ小説 野いちご

難病が教えてくれたこと

第13話

【更科蒼空side】

……。
緊張が。
半端ないです。
「おいおい…大丈夫か?」
「…大丈夫っす。ちょっとトイレ行ってきます…」
「なるべく早く帰ってこいよ。」
…緊張すると腹が痛くなる。
今日はバレーの試合。
先輩にとっては今日が最後の試合。
…俺も、頑張らなくては。
「おっす、蒼空。」
「え」
「頑張れよ〜
もし負けたら1発。」
トイレの前で李那と会い、軽く背中を押してくれる。
「緊張しないの。」
俺の背中をペシペシ叩く威力は以前より格段に下がってて。
悲しくなってきた。
「…うん。ありがとう李那。」
「お礼は勝ってから言いなさいよ。全く。」
ブツブツ言うと李那は席に戻って行った。
李那達が座っているのは1階の真ん中。
試合がよく見える場所だ。
多分李那はトイレって言いながら俺の現状をわかってたんだと思う。
だから、背中を押しに来てくれたんだ。
「…よし、いっちょ頑張るか。」
先輩のために…じゃない。
自分のために。

「ー…よし、勝った。」
俺は基本ボールを拾ってるだけだけど、拾ったボールはちゃんと他のチームメイトが上げてくれる。
元々カットは上手いんだ。
…自分で言ってたら李那に怒られそうだけど。
「やったな!」
「この調子で2回戦も行っちまおう!」
次の相手は…
良かった。
吉野高校じゃない。
あそこはほんとになんでも強いから安心してはいけない。
「更科、今まで通り、カットしてくれたらいい。
リラックスしろよ。」
加藤先輩は俺の背中を軽く叩くと休憩しに行った。
「いやあ、それにしても更科が出るとは思わなかったよなあ…」
「あ、なんかすみません。」
他にも出たい先輩…いたよな?
3年の中に1人だけ2年が混じってるんだ。
生意気以外の何者でもないと思う。
「大丈夫、どっちにしろ3年の人数1人足りなかったから。」
「そうそう、みんな辞めちまったからなあ…」
「だから更科が出てくれるって言った時嬉しかったんだ。
勝っても負けても悔いのないようにしような、更科」
…先輩ら優しすぎだよ。
「加藤があんなに楽しそうにバレーすんの久しぶりに見たんだわ。練習の時も。」
加藤先輩はいつも楽しそうにバレーしてるところしか思い浮かばないけど…
「多分更科と試合出たかったんだろうな。
楽しみたかったんだと思うよ。
いつもキャプテンって思い詰めてたから。」
…先輩はいつも笑顔で。
いつも俺を励ましてくれてた。
今度は俺が先輩に恩返しする番だ。

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