逢沢さんに連れられて、私は自宅マンションへと戻ってきてしまった。数日ぶりの我が家だ。

今日、神崎さんの家には戻らなかったことを、当の本人にはまだ伝えていない。

彼が仕事を終え家に辿り着いたとき、私の姿がなかったら心配するだろうか。

とはいえ、なに食わぬ顔で彼の元へ戻ることは出来なくて。

もやもやと葛藤する私を乗せたまま、タクシーはマンションの前で停車する。

「部屋まで送るよ」

逢沢さんは運転手にしばらく待つように伝えて、タクシーを降りた。

「今日はちゃんと歩けるので、ここまでで大丈夫ですよ」

逢沢さんに続きタクシーを降りながら断ってはみたものの。

「どうせここまで来たんだから、ちゃんと最後まで送らせてくれ」

そう押し切られてしまい、玄関まで送ってもらうことになった。