ケータイ小説 野いちご

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それでもキミが好きなんだ

▽ Apatite




【夏葵side】


「はい、終了。ペンを置いて」


テストの終わりを告げる先生の声を合図を聞いた教室は長いテストが終わったことによる喜びの声に包まれた。


「よっしゃー!」


出席番号が前のサキも嬉しそうに歓喜の声を上げていた。

昔なら『ナツ!今日の放課後あけとけ!』ってキラキラの笑顔を私に向けてくれたよね。

なーんて、そんなの覚えているのは私だけ。

一人で、あの海へ行ってみようかな。

ホームルームが終わり、私も帰る人たちの群れの中であの海を目指して歩いていた。

自転車は持っていないから徒歩で行くしかない。

いつもは……サキが後ろに乗せてくれていたから。

コツコツと音を立てるローファーの音を耳にしながら懐かしい切ない記憶に胸を痛めていた。

思い出にすがって、しがみついている私はバカなんだろうか。


「……遠いなあ」


ポツリ、と呟いた言葉は誰の耳にも入ることなくちっぽけな世界の中に消えていった。

サキはいまごろ友達と遊んでいるか、琴音とデートしてるんだろうな。

この道ってこんなに遠かったかな。




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