「……わからない。」
「ここ?優梨これ昨日も学校でやったよな?」



「えぇ?
うそ、本当に?」



「全く、昨日何聞いてんだよ。」



引退して一週間も経たないうちにテスト週間がやってきた。



私はどうしても数学だけが人一倍できなくて、自分で賢いと豪語する颯汰に勉強を教えてもらっている最中。



昨日は学校で教えてもらったけど、今日は学校に残っている人が多く集中できない上に男女一緒にいると誤解されるからということで颯汰の家に来ている。



ちなみに颯汰はとても教え方が上手いから、多分賢いんだと思う。



「ほら、もう一度言うぞ?」
「うん。お願いします。」



颯汰は私に近づき、丁寧に教えてくれる。



距離が学校よりも近くて、なんだかドキドキしてしまう。