年越しを一緒に過ごし、新年も滑ってから帰宅してもう三週間。

すっかり冬休みを終えていつもの学園生活に戻っていたが、この時期は時が経つのが早すぎる。

あっという間に一ヶ月が終わりそうになっていて、私としては焦る。

なにせ、あと二週間ちょっとで初めてのバレンタインだ。
そして、その二週間後には卒業式と。
本当に目まぐるしい。

私は今初めてのバレンタインに手作りチョコをあげるために奮闘中。

作るのはフォンダンショコラ。

悠くんが好きだと聞いてから、別荘からの帰りに聞いた紫乃さんにメールでレシピを聞いては頑張って作るも上手くトロっといかなくて試行錯誤。

本日四回目の挑戦予定だ。

「咲ちゃん、今日は寄り道しない?」

「ごめんね、悠くん!私用事がある!」

「最近断ってばっかりだよ?咲ちゃん、俺の事嫌いになったの?」

まさかの、イケメンからの壁ドン追求来ましたー!!

あー、バレンタインの事だから黙ってたけど話した方が良さそう……。

「悠くんへの、バレンタインのチョコの試作してて。だから忙しいの!」

私の叫びに、ぶわっと顔を真っ赤にした悠くんは私を抱きしめて言った。

「うわ、俺早とちりしてカッコ悪い……。咲ちゃん、俺練習から味見係するから家で練習しなよ!母さん、教えてくれるから」

そうして、私はクリスマスパーティー以来の洋館訪問となったのだった。