俺が真顔で、教室のドアをガラリと開ける。


すると、葵と歌以外の生徒が、俺を見ていつものように静かになった。


そんな光景に舌打ちをして、歩き出す。


数人の生徒は俺を睨み、ボソボソと何かを言ってるが、ヘッドホンをしている俺には、その声は届かない。


そんな、ただ日が差し込むだけの灰色の空気の中、平然とした顔で自分の席に座った。


「そうだ！昨日の話の続きだけど！」


葵がわざとらしく少し大きい声で喋ると、皆ハッとしたように話始める。


そんな光景を後何回見るんだろうかと考えただけで、嫌気がさした。


俺が入り、静かになり、葵か歌が盛り上げる。


いつものワンセットを終えた教室は、俺の入る前と同じ光景に戻った。


黒板横の時計を見ると、朝礼まであと二分。


ヘッドホンのことを先生に色々言われるのは面倒だし、そろそろ外すか。


ため息をつきながらヘッドホンを外したとき、葵とクラスのヤツが話している声が聞こえてきた。