「今日ももっちー可愛いねー♡」「もっちーハグしよーん♡」
「わたしらの中から誰がいいか選んでそして付き合ってっ♡」




甘い声でまるで語尾にハートがついてるような喋り方の女の子たち。



そして望月の嫌そうな顔。



だけど嫌だとは言わない。

しっかり言葉にしないのは、望月の優しさだ。


露骨に拒絶したら傷つけてしまうからって。





たぶんそういうことだよね、望月!


そしてその隠しきれていない嫌そうな顔がさらに来る(?)らしい。




わたしたちが歩く前辺りにいる望月プラス女子たち。



ここは高校。今は高校の敷地内の校舎までの道。そこまでの距離じゃないんだけど。



今のわたしたちは、漫画とかでよくある遅刻ギリギリとかじゃなく、時間に余裕もある。





こういう日常のなか、今日もわたしは望月を探し、見つけてはこうやって観察している。



「もっちー、今日も言われてんねー」




そう。今日も言われてる。


いわゆる、見覚えがある光景ってやつだ。居酒屋の常連客の言い慣れた『いつもの!!!』だ。

  


そう声に出したのは私じゃなくて、大親友を超えた超親友って感じの中林羅衣って子。




羅衣は大人っぽいし美人だ。男女問わず人気がある。


少しバカだけど。



「ま、ちかちゃぁんのが可愛いけどねー」


こういうところが…

なんていうのかな?私たちが姉妹だったらシスコンなんだけど。フレコン?




ちか っていうのは私。藤堂ちか。


羅衣の言っていることはあまり正しくないと思う。


一部誤りがある。いつも。



羅衣はつまり不良品…

いや、最高品質だね。うん。そうだよね。ごめんごめん。
親友のこと悪くいうなんて。どこの女よ!



……。


それより望月。

女のわたしが言うのもあれだけど、そこら辺の可愛い女子よりも望月は可愛い。



だから、望月がトップに可愛いのは確かだ。


イケメンとはいえ、かっこいい系ではなくガチの可愛い系、、か




「望月が可愛いよ」



「ないわ、望月男だしそれ踏まえなくてもちかのが可愛い」

「望月のが可愛い」



少しかぶせぎみな上に、さっきより大きめの声が出てしまったので、



聞こえていないか、と確認するためより集中して望月の様子を伺う。



女の子にほっぺたを触られていて、聞こえていないようだった。





やはりとてつもなく嫌そうな顔をしている。

どんだけ彼は不器用なんだろうか、、


嫌だとは言わないけど表情管理はされていない、、



と思うと、ひきつった笑顔を見せた。


望月…やはり、傷つけないためなのか?!望月…




望月は1人の女の子に抱きつかれていて、身動きがとれなくなった。


抱きつかれている姿もほんとうに可愛い。


わたしも望月みたいな抱き枕がほしい。何円ですか?



女の子たちは許可されてるのかな?まったく、、




ていうか聞いた話だけど望月のほっぺは、気持ちよすぎてやばいらしい。




ちょっと触ってみたいな…
とか思ってないですごめんなさい

わたしもほっぺた目当ての人間になろうとしているのか…